よしザル

SNSにオンライン よくわかりません

本のご紹介 ”田崎真也が明かす ワイン味わいのコツ”

 2004年、ワタクシがソムリエの資格試験を合格した後に購入した、忘れられない本です。その本と出会った頃、その本はわたしには正直むずかしく感じる本でした。ソムリエの試験を受けることは決めていたので、「試験に合格する頃にはスラスラと読めるのだろう」と次の読む機会を楽しみにしていました。

 

 試験合格の為にワインの名前や産地、香りや味の特徴を勉強しました。勉強のおかげでワインの知識は増え、自信を持って現場での接客に取り組めるようになりました。

 

 ところが、実際にレストランでのワインのセールス、サービスを続けていくなかで、あることがうまくいかずに悩みました。試験勉強で培ったワインの知識をお客様に説明しても、そのワインの良さが伝わらないのです。

 

 まだまだインターネットでもワインの情報は少なく、ワインの解説本も少なかったので、わたしもワインの勉強は大変でした。そんな情報の少ない状況なら、当然お客様も知らない事が多いことは見受けられました。お客様が興味のそそられる面白そうなワインの知識を選び、お食事を盛り上げようとご説明するのですが…お客様は僕が想うような盛り上がりはありませんでした。

 

 そんなとき尊敬する先輩から言われた、あるひとことで解決に至りました。今も忘れられません。

 

 「6歳の子にわかるように説明するんだよ。」

 

 そうだったんです。6歳の子供にはわたしの言葉はむずかしいのです。

 

 多くのお客様はわたしの説明を理解することに集中するあまり、せっかくの面白いワインの話が楽しめないのです。説明の言葉が難しいので、結局よくわからないので、「ふ〜ん」とイマイチ盛り上がらなかったのです。わたしのワインの知識の量や質の問題以前に「伝える技術」が必要だったんです。

 

 悩んでいた私を見事に解決してくた職場の先輩からのお勧めされたのがこの本でした。

 

 初版が1994年。今から26年前...四半世紀前ですね。今読んでも情報量がとても多いです。そしてなにより、難しい言葉を極力さけた、わかりやすい楽しめる本です。

 

 本の中では、田崎さんが実際に銘柄を公表した代表的なワインを試飲しながら、香りや味わいの特徴を解説していきます。テイスティングの具体的な方法。色、香り、味わいをなぜそう感じるのか論理立てながら、語り掛けるような優しいトーンで説明されていきます。接客という仕事柄なのでしょうね。

 

 実はハードカバーで少し小さいサイズ。今はもうカバーの無く、剥き出しで、印刷された紙も少し黄ばんでいます。

 

  もう長い間、接客の際に味わいの説明に想う事があると、時々開いた1冊です。中の文章にはマーカーがびっしりと引かれ、随分と汚れています。今は読み返すと当時の事が思い出されるアルバムのようです。電子書籍では味わえない、読み込んだ本にできる新しい価値に気がついた大切な1冊です。

 

 興味のある方のためにオススメをもう2冊。

 

 「続・ワイン味わいのコツ」先に紹介した本の続編です。数あるワインの中でも人気の高いボルドーブルゴーニュ、ローヌに特化した本です。

 

 「ワイン生活~楽しく飲むための200のヒント」 さらに超初心者向けの一冊です。Q&A方式で話が進んでいきます。例えば、「カレーにはどんなワインが合いますか?」なんて質問にも丁寧に答えていきます。

 

 「日本酒を味わう」もいいです。若かりし田崎さんの飲み方の話も楽しいです。また、今ソムリエ協会の行う日本酒の資格試験のルーツも垣間見えます。